三日ほど前から熱が出て 薬を飲んでも一向に下がる気配がないので いいかげんに無精な僕も病院に行った。
その病院は近所でも評判の総合病院で 玄関前に広がる駐車場には 霊柩車が一台停まっていた。
なるほどここの院長は相当できるようだ。
エントランスの案内図を見ると、産婦人科と老人ホームと結婚式場と葬儀場と焼き場も併設されていた。
なるほど この高い回転率で不動の地位を獲得したのだな と僕は納得し 受付で名前を書いて 固いビニールのソファに腰掛けて名前が呼ばれるのを待った。
だだっぴろい待合室には 僕しかいなかった。
ただ、照明はコンビニのようにまっしろできらきらしく、僕は目を細めなければならないほどだった。
そうやって目を細めていて ずうっと待っていたのだけれど 気が付いたら僕は眠ってしまっていた。
カムラさん カムラさん と呼ばれる声で目が覚めた。
そこは 個人用の病室の ベッドの上だった。
手術はもう終わりましたからね と看護婦らしきひとは僕に告げて 去っていこうとした。
いやちょっとまってくれ と僕は看護婦らしきひとを呼び止めた。
看護婦らしきひとは 立ち止まって なんでしょう と優しい声音で言った。
僕は手術など頼んだ覚えはないよ ただ熱があったから診察してもらいにきたのだ。
それをなんだい 勝手に手術などして いや手術が必要だったならばいいのだけれど その前に説明するのが筋じゃないのかい。
看護婦らしきひとは はあ と気のない返事をした。
僕はあきらめて では結局なんの手術をしたのだい と訊いた。
脳の手術です と看護婦は答えた。
脳?
僕は頭から血の気が引いていくのがわかった。
なにをしたんだ と僕は看護婦に詰問した。
看護婦はひとこと こう答えた。
おめでとう